着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)

PGT-Aとは

PGT-A(Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidy)とは、体外受精によって得られた胚の一部の細胞を採取し、染色体の数に異常がないかを調べる検査です。

染色体は、体の設計図のようなもので、人の遺伝情報が詰まった構造です。人の染色体は通常23対46本あり、このうち半分の23本は母親の卵子から、残りの23本は父親の精子から受け継がれます。

この染色体の数に過不足(多すぎる、少なすぎる)が生じると、受精卵は着床しにくくなったり、妊娠しても発育の途中で止まってしまったりする可能性があります。また、染色体の数の異常は、年齢とともに増加する傾向があることも知られています。

PGT-A検査により染色体の数に異常がない(または移植可能と判断された)胚を選んで移植することで、体外受精(IVF)の妊娠率の向上や流産リスクの低減につながる可能性があります。

当院は日本産科婦人科学会の承認を受けたPGT-A実施施設です。PGT-A検査は、日本産科婦人科学会の「不妊症および不育症を対象とした着床前遺伝学的検査に関する見解」に基づいて実施しています。

PGT-Aの対象

① 反復ART不成功
2回以上の胚移植を実施しても妊娠が成立していない方
② 反復流産
過去の妊娠で2回以上の流産を経験された方
※胎嚢が確認された後の流産が対象です。化学流産は含みません。
③ 女性が高年齢である不妊症の夫婦
※現時点(2025年9月)では、女性の年齢は35歳以上を目安とする

補足

女性が35歳未満の場合
「反復ART不成功」または「反復流産」のいずれかに該当する方が対象です。
女性が35歳以上の場合
移植や流産の既往に関係なく、ご希望があればPGT-A検査を受けることが可能です。

PGT-A検査の流れ

PGT-Aの流れは以下の通りです。当院を初めて受診される方は、まず初診予約のうえ診察を受けてください。通院中の方は、外来受診時に医師とご相談ください。

1. PGT-Aの対象かの確認
日本産科婦人科学会の規定に基づき、対象者のみ検査が可能です。
2. 動画視聴とチェックシートの記入
学会作成の動画を視聴し、内容を理解したか確認するためチェックシートに記入していただきます。
3. 同意書への署名
PGT-A検査に関する同意書の内容を確認し、署名していただきます。
4. 書類の提出
動画視聴チェックリストと同意書を提出していただきます。
5. 採卵・胚盤胞培養・胚生検・胚盤胞凍結、PGT-A検査
採卵後、胚を培養し、胚生検を行ったうえで胚盤胞を凍結します。その後、PGT-A検査を実施します。
6. PGT-A検査結果の説明
検査結果について医師から詳しくご説明します。
7. 胚移植または再採卵
  • 移植可能な胚が得られた場合:胚移植へ
  • 移植可能な胚が得られなかった場合:再度採卵を検討

PGT-Aの費用

PGT-Aは通常の体外受精の費用に加え、以下の費用がかかります。

  • 胚盤胞1個当たり110,000円(生検費用込み)
    例)胚盤胞2個をPGT-A実施した場合:220,000円を請求させていただきます。
  • 染色体検査(希望者のみ):ご夫婦で二人分66,000円

※PGT-Aは自費検査です。混合診療が禁じられているため、PGT-A検査を実施する場合は、検査費用だけでなく、採卵・移植を含む体外受精治療のすべての費用が自費となります。あらかじめご了承ください。
体外受精(自費)の費用は、料金一覧よりご確認いただけます。

PGT-A Q&A

保険治療で凍結した胚盤胞にPGT-A検査できますか?
現時点で、保険治療で得られた胚に対してPGT-A検査を行うことができません。検査を希望される場合は、自費治療での採卵から行う必要があります。
分割期胚は検査できますか?
分割期胚では検査は行いません。胚盤胞培養を行い、胚盤胞まで発育できたら、検査を行うことができます。
PGT-Aを行った場合、新鮮胚移植はできますか?
PGT-A検査を行った場合は、新鮮胚移植はできません。一度凍結保存して検査結果を待ちます。検査結果は2~3週間程度かかります。検査の結果、移植可能胚が得られたら凍結胚を融解して移植します。
すでに凍結保存している胚盤胞は検査できますか?
はい、可能です。
凍結されている胚盤胞を融解し、胚生検を行った後に再凍結します。再凍結や再融解によって胚に影響が出る可能性は完全には否定できませんが、通常は問題ありません。
他院で凍結保管中の胚盤胞がありますが、PGT-A検査はできますか?
はい、凍結胚の移送とPGT-A検査は承っております。
まずは初診予約をしていただき、診察のうえで手続きをご案内いたします。
PGT-Aを行えば必ず移植できますか?
検査の結果によっては、移植可能な胚がない場合もあり、必ず移植できるとは限りません。
PGT-Aを行えば元気な赤ちゃんが生まれますか?
これらの検査は胚の染色体の状態を調べるものであり、染色体以外が原因の流産や赤ちゃんの病気については分かりません。
PGT-Aで赤ちゃんの性別はわかりますか?
学会の規定により、性別はお伝えできません。

着床前胚染色体構造異常検査(PGT-SR)

PGT-SR(Preimplantation Genetic Testing for Structural Rearrangement)は、胚の染色体の構造に異常があるかを調べる検査です。夫婦いずれかの染色体構造異常(均衡型染色体転座など)が確認されている方が対象となります。年齢や妊娠歴、流産の既往を問いません。

PGT-SRは基本的にPGT-Aと同じような流れで進みますが、検査にあたっては遺伝カウンセリングが必須となります。遺伝カウンセリングの予約は電話での事前予約が必須です。また、症例によってはより専門的な対応が必要となる場合があります。その際は、連携施設での専門家によるオンライン遺伝カウンセリング(セカンドオピニン)を紹介しています。

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