• 9月 19, 2026

子宮内膜症と不妊——「卵子救出作戦」で未来をつなぐ

子宮内膜症と不妊治療の解説

不安があるとき、スマートフォンで検索する方は多いと思います。そこで「子宮内膜症」と調べると、「不妊」という言葉を目にすることがあります。

「私は妊娠できないかもしれない……」と、不安を感じていませんか?しかし、断片的な情報だけで未来を悲観してしまう必要はありません。

「子宮内膜症がある=妊娠できない」というわけではありません。一方で、子宮内膜症は妊娠しにくさと関連することがあります。

今回は、子宮内膜症が不妊にどのように関係するのか、そして妊娠を希望する場合にどのような選択肢があるのかを解説します。

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子宮内膜症とは?

子宮内膜症と不妊

子宮内膜症は、本来は子宮の内側にある「子宮内膜」に似た組織が、子宮以外の場所にできる病気です。

実は、子宮内膜症は決して珍しい病気ではなく、生殖年齢の女性にみられる身近な病気です。

子宮内膜症の病変は、卵巣や卵管の周囲、腹膜などにできることがあります。月経周期に合わせて変化することで、炎症や痛み、周囲の組織との癒着を引き起こすことがあります。

主な症状には、強い月経痛、月経時以外の下腹部痛、排便時の痛み、性交時の痛みなどがあります。ただし、症状には個人差があり、ほとんど症状がない方もいます。

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子宮内膜症は、なぜ妊娠しにくさにつながるのでしょうか?

子宮内膜症では、炎症や癒着によって卵巣や卵管周囲の環境が変化することがあります。

その結果、

  • 卵管の動きや通過性への影響
  • 卵巣や卵管周囲の癒着
  • 卵巣子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)
  • 卵巣機能への影響

などが生じ、妊娠しにくさにつながることがあります。

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子宮内膜症があるからといって、すぐに手術とは限りません

子宮内膜症には、手術療法や薬物療法などがあります。子宮内膜症があるからといって、必ずしもすぐに手術をする必要はありません。

特に卵巣子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)の手術では、病変を取り除く一方で、正常な卵巣組織に影響し、卵巣予備能が低下する可能性があります。

そのため、手術を検討する場合には、痛みの程度、嚢胞の大きさや状態、卵巣予備能、将来の妊娠希望などを総合的に考えることが大切です。

将来の妊娠を考えるうえでは、病変を治療するだけでなく、「卵巣の機能を守る」という視点も重要になります。

すぐに妊娠を希望していない場合には、薬によって症状をコントロールしながら、病気の状態を見ていくことも治療の選択肢の一つです。

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では、「今すぐ妊娠を希望される方」はどうすればいいのでしょうか?

不妊原因の一つは、卵子と精子が出会いにくくなること

子宮内膜症による炎症や癒着によって、卵巣や卵管周囲の環境が変化し、卵子と精子が出会う過程に影響することがあります。

特に卵管周囲に癒着がある場合には、卵子の取り込みや卵管の働きが妨げられ、妊娠しにくくなる可能性があります。

このような場合には、**卵子と精子が出会う過程を体外で行う「体外受精」**が選択肢となります。

私たちが提案する「卵子救出作戦」

お腹の中が出会いにくい環境になっているのなら、その外側で出会わせてあげる。そのためにあるのが、「体外受精」という選択肢です。

イメージするなら、炎症や癒着の影響を受けている卵子を、そっと外へ連れ出して助ける「卵子救出作戦」。卵巣から卵子を採取し、培養室で精子と受精させます。そして、発育した胚を子宮へ戻します。この方法では、卵管の状態に左右されず、卵子と精子が出会う過程を体外で行うことができます。

もちろん、子宮内膜症があるからといって、全員に体外受精が必要なわけではありません。

年齢や卵巣・卵管の状態、精子の状態などを確認し、一人ひとりに適した治療を検討します。

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若い患者さんへ:「年齢」という大きな要素

子宮内膜症があると、たとえ若くても、炎症や卵巣の状態によって「卵子が採りづらい」「一度に採れる数が少ない」という状況に直面することがあります。

周りと比べて、ショックを受けることもあるでしょう。しかし、不妊治療では、年齢は妊娠を考えるうえで重要な要素の一つです。

たとえ一度に採れる卵子の数が少なくても、採卵数だけで将来の妊娠の可能性を判断することはできません。年齢、卵巣予備能、採卵で得られた卵子や胚の状態などを総合的に考えることが大切です。

「採れた数が少ないから」といって、それだけで未来を悲観する必要はありません。

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将来の妊娠を考えて「卵子凍結」という選択肢も

もし現在は妊娠を希望していなくても、

「子宮内膜症があり、将来の妊娠が心配」

「今後、卵巣の状態が変化することが気になる」

という場合には、**卵子凍結(未受精卵凍結)**について相談することも選択肢の一つです。

特に卵巣子宮内膜症性嚢胞がある場合には、将来の妊娠希望や年齢、卵巣予備能などを考慮し、妊孕性温存について検討することがあります。

卵子凍結は将来の妊娠を保証するものではありませんが、将来の選択肢を残すための一つの方法です。

「今すぐ妊娠する予定はないけれど、将来のためにできることを知っておきたい」という段階で相談することもできます。

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一歩ずつ、一緒に進んでいきましょう

「今の私の状態で、何から始めるのがよい?」「将来のために、今できることは何?」

一人ひとり、置かれた状況によって答えは違います。

ネットの情報だけで不安を抱え込まず、まずはご自身の身体の状態を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。

当院では、子宮内膜症のある方のAMH検査、不妊治療、体外受精・顕微授精、卵子凍結などについてご相談いただけます。

「今の自分には何が必要なのか」を一緒に整理しながら、今後の妊娠について考えていきましょう。

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監修 Dr. 保母 るつ子

  • 日本専門医機構 産婦人科専門医
  • 日本生殖医学会 生殖医療専門医
  • 日本産科婦人科内視鏡学会 技術認定医(腹腔鏡)
  • 医学博士
秋葉原ART Clinic 03-5807-6888 ホームページ