- 9月 5, 2026
PCOSと年齢――40歳を過ぎても卵は取れる?
「PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の人は、年齢を重ねても卵がたくさん取れるって本当ですか?」
外来でも、このような質問をいただくことがあります。
結論からお伝えすると、
PCOSの方は、40歳を過ぎても、PCOSではない方と比べて採卵数が多い傾向があります。
ただし、ここで最も大切なポイントがあります。
「卵が多く採れること」と「妊娠しやすいこと」は、同じではありません。
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🔍 PCOSは年齢を重ねても「卵巣予備能」が保たれやすい
女性の卵胞数は年齢とともに減少していきます。
一方、PCOSの方では、卵巣内に小さな卵胞が多くみられ、AMH(抗ミュラー管ホルモン)が高い傾向があります。
そのため、年齢を重ねても、卵巣刺激を行った際に比較的多くの卵子を採取できることがあります。
実際に、40歳以上の女性を対象とした研究でも、PCOSの方ではPCOSではない方に比べて、採卵数が多かったと報告されています。*
一方で、別の研究では、39~41歳のPCOSの方では、若い年代と比べて採卵数に大きな差がみられなかった一方、妊娠率は年齢とともに低下していました。**
ここに、PCOSを考えるうえで重要なポイントがあります。
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⚠️ 「卵の数」と「卵の質」は別のお話
卵子がたくさん採れると、
「まだ卵がたくさんあるから大丈夫」
と安心したくなるかもしれません。
しかし、「卵子の数」と「卵子の質」は別の問題です。
PCOSによって卵胞が多く、AMHが高い傾向があったとしても、年齢に伴う卵子の変化を止めることはできません。
年齢とともに、卵子の染色体数の異常が増える傾向があり、それが胚の発育、妊娠率、流産率などに影響します。
つまり、
「卵子がたくさん採れる」ことはPCOSの一つの特徴ですが、
「若い頃と同じように妊娠できる」という意味ではありません。
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🍀 PCOSだからこそ、年齢も一緒に考える
PCOSの方では、年齢を重ねても比較的多くの卵子を採取できる可能性があります。
これは体外受精において、複数の卵子を確保できるという意味では一つのメリットです。
だからこそ、
「卵が取れるから、まだ急がなくても大丈夫」
と考えるのではなく、
「卵が取れやすいという特徴を、年齢を考慮しながらどう生かすか」
という視点が大切です。
特に35歳を過ぎてから妊娠を希望する場合は、卵子の数だけに注目するのではなく、年齢、卵巣予備能、これまでの治療経過などを総合的に考えて、治療計画を立てることが重要です。
PCOSだからといって、すべての方に同じ治療が必要になるわけではありません。
ご自身の年齢や卵巣の状態、妊娠希望の時期などを踏まえて、一人ひとりに合った治療計画を考えていくことが大切です。
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まとめ
PCOSでは、
- 年齢を重ねても採卵数が比較的多い傾向がある
- AMHが高く、卵巣内に小さな卵胞が多くみられることがある
- しかし、卵子の数が多いことと妊娠しやすさは同じではない
- 年齢に伴う卵子の染色体異常の増加は、PCOSがあっても変わらない
ということを知っておくことが大切です。
「卵が取れる」ということだけで安心するのではなく、卵子の数と年齢の両方を考えて、今後の治療を考えること。
それが、PCOSの方が妊娠を希望するときに大切な視点です。
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参考文献
* PCOS in older women and IVF outcomes. PMID: 29289990
** Hwang YI, et al. Int J Gynaecol Obstet. 2016; PMID: 27406030
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監修 Dr. 保母 るつ子
- 日本専門医機構 産婦人科専門医
- 日本生殖医学会 生殖医療専門医
- 日本産科婦人科内視鏡学会 技術認定医(腹腔鏡)
- 医学博士