- 8月 30, 2026
- 9月 1, 2026
体外受精(IVF)とは?|自然妊娠との違い・流れ・対象をわかりやすく解説
1.はじめに:体外受精は「卵子と精子の出会い」をサポートする治療です
不妊治療を検討する中で、「体外受精」という言葉を耳にすると、少し身構えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
1978年には世界初の体外受精による出生児としてルイーズ・ブラウンさんが誕生しました。それから約50年が経とうとしており、体外受精は現在では広く行われている不妊治療の一つとなっています。日本でも2022年4月から体外受精を含む生殖補助医療が保険適用となり、以前より身近な治療となってきました。
体外受精(IVF)は、卵子を体外に取り出し、体外で精子と受精させ、その後、できた胚(受精卵)を子宮に移植する治療です。
自然妊娠では、卵子と精子が主に卵管内で出会い、受精します。一方、体外受精では、卵子と精子が出会い、受精する過程を体外で行うことで、妊娠に至るまでの一部のプロセスを医療技術によってサポートします。
当院では、お一人おひとりの卵巣機能や年齢、これまでの治療歴などを考慮し、自然周期・低刺激周期を基本とした、できるだけお体への負担を抑えた体外受精を行っています。
2.自然妊娠と体外受精、何が違うの?
大きな違いの一つは、卵子と精子が出会い、受精する場所です。
- 自然妊娠:卵子と精子が体内、主に卵管内で出会い、受精します。
- 体外受精(IVF):卵子を体外に取り出し、体外で精子と受精させます。
体外受精では、卵子と精子を同じシャーレの中に入れて受精を促す「コンベンショナルIVF」に加えて、必要に応じて「顕微授精(ICSI)」を行うことがあります。
顕微授精では、顕微鏡下で精子を選択し、卵子に直接注入することで受精をサポートします。ただし、顕微授精を行えば必ず受精するわけではありません。
受精後は、胚を数日間培養し、発育の状態を確認します。その後、胚を子宮に移植し、着床・妊娠を目指します。
つまり、体外受精は妊娠に至るすべての過程を体外で行う治療ではありません。卵子と精子が出会い、受精した後、胚を培養して子宮へ戻すまでの一部の過程を、医療技術によってサポートする治療です。
3.体外受精の流れ:主な5つのステップ
ここでは、当院で行う一般的な体外受精の流れをご紹介します。
① 排卵誘発・卵胞の発育を確認する
自然周期、または必要に応じて排卵誘発剤を使用し、卵胞の発育を超音波検査やホルモン検査などで確認します。
卵巣の状態や年齢、これまでの治療歴などを考慮し、その方に合った刺激方法を選択することが大切です。
② 採卵・採精
卵胞が十分に発育したタイミングで採卵を行い、卵子を回収します。
採卵と同日に、精子を採取していただきます。
採卵時の麻酔についても、お体の状態やご希望などを考慮して検討します。
③ 受精・胚培養
回収した卵子と精子を用いて受精を行います。
受精方法には、卵子の周囲に精子を置いて受精を促す「コンベンショナルIVF」と、顕微鏡下で精子を卵子に注入する「顕微授精(ICSI)があります。
その後、受精した胚を培養し、発育の状態を確認します。
④ 胚移植
培養した胚を子宮内に移植します。
移植には、採卵した周期に移植する「新鮮胚移植」と、いったん胚を凍結保存し、別の周期に移植する「凍結胚移植」があります。
凍結胚移植には、排卵を利用して子宮内膜を整える「自然周期」と、ホルモン剤を使用して子宮内膜を整える「ホルモン補充周期」があります。
当院では、基本的に自然周期での凍結胚移植を行っています。 お一人おひとりの排卵や子宮内膜の状態などを確認しながら、適切なタイミングで胚移植を行います。
⑤ 妊娠判定
胚移植後、一定期間をおいて血液検査などで妊娠判定を行います。
妊娠判定を行う時期は、移植した胚の発育段階や施設の方針などによって異なります。
4.体外受精はどのような方が対象?
体外受精は、さまざまな不妊原因に対して検討される治療です。
たとえば、以下のような場合があります。
- 卵管に問題がある場合
- 男性因子がある場合
- 一般不妊治療で妊娠に至らない場合
- 年齢などを考慮し、早めに妊娠を目指したい場合
- 原因が明らかでない場合
「いつ体外受精を始めるべきか」は、すべての方に同じ基準が当てはまるわけではありません。
5.当院の特徴:自然・低刺激を基本に、一人ひとりに合わせた体外受精
当院では、自然周期・低刺激周期を基本とし、お一人おひとりの状態に合わせた体外受精を行っています。
採取する卵子の数だけを目標とするのではなく、卵子の発育状態などを確認しながら、より良い治療結果を目指します。年齢、卵巣予備能、これまでの治療歴などを考慮し、その方にとって適切な治療方法を検討します。
**「できるだけ薬を少なくしたい」「治療による身体的な負担を抑えたい」「これまでの治療方法を見直したい」**など、お一人おひとりのご希望や状況も大切にしながら治療方針をご提案します。
体外受精・顕微授精について詳しく知りたい方は、当院ホームページもご覧ください。
6.結びに:まずは一歩、相談してみませんか?
体外受精は、決して「最終手段」として怖がるものではなく、**「妊娠を目指すための選択肢の一つ」**です。
当院では、医学的なエビデンスに基づきながら、お一人おひとりの状況やご希望に寄り添った治療をご提案しています。
「体外受精を始めたほうがよいのか」「今の治療方法を見直したほうがよいのか」など、迷っている段階でも構いません。
まずは現在の状況を一緒に整理することから始めてみませんか。
監修 Dr. 湯 暁暉
- 日本専門医機構 産婦人科専門医
- 日本生殖医学会 生殖医療専門医
- 日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医