卵子凍結

Egg freezing


卵子凍結保存

当院では、未婚女性の卵子(未受精卵)の凍結保存を行っております。

女性は加齢により妊娠する能力(妊孕性)が低下します。特に35歳頃から妊孕性の低下が顕著となり、加速していきます。
様々な理由により現時点では妊娠の予定がなくとも、若い頃の卵子を凍結保存することで、将来的な妊娠・出産に備えることができます。

卵子凍結とは?

不妊治療では卵巣から採取した卵子は精子と受精させた後に凍結保存しますが、卵子凍結保存は、卵巣から採取した卵子を未受精卵のまま凍結しておく方法です。
若い頃に採取した卵子を妊娠を希望するタイミングで融解して受精させることで、加齢による卵子への影響を回避し妊娠を期待することができます。

卵子凍結ができる年齢

卵子の質は35歳頃から急速に低下するため、35歳以下での卵子凍結が妊娠には最も有効であると考えられます。しかし様々な事情により卵子凍結保存を希望される方がおられることを考慮し、当院では卵子凍結の対象を43歳未満の方としています。
卵子を凍結保存しても必ず妊娠に至るとは限らないため、可能な限り早めの妊娠・出産をおすすめします。

卵子はいつまで保存できる?

当院ではガラス化急速凍結法によって卵子凍結を行います。凍結保存する卵子は液体窒素(-196℃)の中で保存されます。卵子の凍結保存は技術的には長期的に可能ですが、妊娠・出産にかかる様々なリスクを考慮し、当院では卵子のお預かりとご使用につきましては、48歳未満とします。48歳の誕生日を迎えた時点で破棄とさせていただきます。
精子と受精させた受精卵の保管に関しては、50歳未満としています。

卵子凍結の妊娠率

年齢や個人差があり、論文の報告によっても差がありますが、凍結卵子の融解時の生存率は約90~97%、融解後の受精率は約70~79%、移植率は17~41%、移植ごとの臨床妊娠率は36~61%、1個の卵子から妊娠に至るまでの確率は4.5~12%との報告があります(Mature oocyte cryopreservation: a guideline. Fertil Steril 2013;99:37–43.)。
妊娠後の流産率は約2割であることを考慮すると、35歳ぐらいの方では、最低でも10個以上、理想的には15~20個の卵子の保存が望ましいと思われます。

卵子凍結の流れ

1.採卵前の評価と準備

医師による問診、内診および健康状態、卵巣予備能などを調べるための血液検査

2.採卵~卵子凍結

卵巣機能、卵巣予備能、またはご希望の卵子凍結の個数やご予算等を考慮した上、排卵誘発の方法を決めていきます。できる限りご希望に添えるような卵子凍結を行います。

  • 中刺激周期
    月経3日目からクロミッドの内服と1日おき排卵誘発剤の注射(自己注射可能)卵子5~10個採取の見込みです。
  • 低刺激周期
    月経3日目からクロミッドを連日に内服、卵子2~4個採取の見込みです。
  • 自然周期
    完全自然、あるいは月経3日目から排卵誘発剤フェマーラを5日間内服卵子1個採取の見込みです。

3.使用時までの凍結保管

4.卵子融解~妊娠

卵子融解後、精子と顕微授精にて受精させます。受精後体外で一定期間を培養後、子宮内に戻していきます。

卵子凍結のリスク

排卵誘発に対し卵巣の過剰反応によって卵巣腫大、腹水貯留、腹痛、乏尿など、卵巣過剰刺激症候群の出現がみられることがあります。
また、卵胞穿刺に伴う合併症として、稀に腹腔内出血(0.05%以下)、腹腔内感染(0.05%以下)、膀胱損傷、腸管損傷等の合併症が起こる可能性があります。

当院では、卵巣過剰刺激症候群を起こしやすい強い卵巣刺激を行っておりません。
低刺激~中刺激を一番多く行っており、重篤な副作用が起こる可能性は極めて低いです。また、ご希望であれば、排卵誘発剤を一切使用せず完全自然周期の採卵もできます。

なお、凍結卵子を使用して生まれた子供の先天異常の確率は、自然妊娠と同等であるとの報告がありますが、長期的な予後に関して現時点で不明な部分があることをご了承ください。

費用(税込)

初診+採卵前検査:約3万円
採卵までの診察代(超音波、ホルモン検査、排卵誘発剤など):約3~10万円

■卵子凍結 当院保管 パッケージプラン

初回 税込 330,000円
2回目以降 税込 250,000円

(採卵代、卵子凍結代、1年間保管代を含む)

■卵子凍結 Grace Bank保管 パッケージプラン

初回 税込 295,000円
2回目以降 税込 250,000円

(採卵代、卵子凍結代、Grace Bankへ輸送までの保管代を含む)

当院は卵子凍結保管サービス Grace Bankの提携クリニックです。グレイスバンクの詳細はこちらのページをご確認ください。
卵子凍結保管サービス Grace Bank(グレイスバンク)

※卵子凍結保管更新料(1年分)1本(2-3個)につき、33,000円となります。
※今後、卵子を融解して使⽤する場合には融解代11000円/個と体外受精(顕微授精)の治療費がかかります。顕微授精代および受精卵培養、胚移植などの費用について当院で新鮮卵子による体外受精を行う場合の料金制度が適用となります。
※卵子凍結および将来使用時の体外受精の費用は全部自費となります。
※費用は予告なく変更する場合があります。

助成金制度について

東京都では、2023年秋より「卵子凍結に係る費用の助成」事業が実施されています。卵子凍結と保管に対して最大30万円を助成するというもの(対象要件あり)です。また、凍結卵子を融解し使用する際にも最大20万円の助成を受けることができます。助成を申請するには、指定する登録医療機関においての採卵が必要です。当院は登録医療機関に認定されています。
事業詳細に関しては東京都福祉局のHPをご確認ください。

卵子凍結について 東京都福祉局 (tokyo.lg.jp)

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